「私は色オチが早いんです。こちらのカラー剤はどれくらい、モチますか?」
お答えします。
「使用するカラー剤によって違いがあります。」
あなたには……2つの選択肢があります
①

(*画像はイメージです。)
7レベルまでの中彩度の白髪染めにする。(↑)
②

(*画像はイメージです。)
好きな明るさで、クリアな色味の高彩度な白髪染めにする。(↑)
もしかしたら、あなたへの答え方が変わるかもしれません。 このブログを読み終えた後、色オチしない選択をあなたがするかもしれないからです。
あなたの知らないカラー染料の世界
あなたの知らないカラー染料の世界
ヘアカラーの染まる仕組みを知ろう
染まるプロセスは2段階ある

①ブリーチする
4レベルの黒髪を11レベルの明るさにブリーチする
②染料が定着する
11レベルまでブリーチされたメラニン色素に、染料が定着して8レベルの明るさに染まる。
11レベルの髪にブルーの染料がのっかって、8レベルのアッシュブラウンに見せている。
シャンプー・海水浴・プールなどによって染料の脱落があると、最大11レベルまで明るくなるんです。
いわゆる褪色(色オチ)ですね。
明るさで染料の量が違う

①8レベルに見えているヘアカラー
4レベルから10レベルまでブリーチして、2レベル分の染料が染まって 8レベルに見えている。
②6レベルに見えているヘアカラー
10レベルまでブリーチして、4レベル分の染料が染まって 6レベルに見えている。
明るいほどに染料が少ないので、色オチを早く感じてしまいます。何レベルまでブリーチしているかはメーカーによって、あるいは同一ブランドの品番によって違いがあるのです。
染料は2種類ある
カラー剤の染料には、直接染料と酸化染料、カップラーの3種類があります。話がややこしくなるので、カップラーの記述は控えます。
① 酸化染料とは?
下図を見てみて。低分子の染料が大きな高分子に変わっていく、染まる過程のイラストです。

①酸化染料は分子量が小さい
②小さいまま、キューティクルから髪に侵入する
③④色素の分解が始まる
⑤⑥色素の漂白
⑦〜⑩色素に染料が重なり合って、どんどん大きくなる
大きくなるので、髪から離脱しにくい。色モチが良い。
重なり合って大きくなり発色することを、専門用語で酸化重縮合結合(酸化重合)といいます。読んで字のごとく、重なり合って結合するんですね。酸化染料のデメリットは、色味が鮮やかではないことです。
② 直接染料とは?
直接染料は色味が鮮やかで、とても深みのある発色をします。

(*画像はイメージです。実際の仕上がりには個人差があります。)
ヘアマニキュアなどに用いられる酸性染料や、カラートリートメントなどに用いられる塩基性HC染料も、大きな意味合いで分類すれば直接染料の範囲です。
酸化染料とは違い、酸化重合はしないんです。そのままの分子の大きさで染まっちゃう。 直接染料は髪の中で大きくならない。だから髪から流出しやすいんですね。直接染料のデメリットは、色モチがあまり良くない(褪色が早い)という特徴を持ちます。
明るさを求めるとニトロが多い
10レベルの明るい白髪染めは、 最低でも12レベルまでブリーチして、たった2レベル分の染料が染まって10レベルに見せています。

このような明るい高彩度な白髪染めをするには、少ない染料の量でやらなきゃいけない。 コレ、酸化染料ではムリなんです。
少ない染料で高彩度に染められるのはニトロ染料! ニトロ基を持つ直接染料のことを、総称してニトロ染料といいます。

色鮮やかに染めたのに色持ちが悪いと感じる場合には、このニトロ染料が主な染料に用いられている場合などが考えられます。

(*画像はイメージです。)
明るい白髪染めの盲点
10レベルで白髪を染めて色も楽しみたい。おしゃれ染めの延長で考えるなら当然のご要望です。 白髪染めは、根元にたっぷりとカラー剤を塗布します。この考え方は、酸化重合する酸化染料の塗布の場合に限ります。
同じ考え方で、根元にたっぷり「ニトロ染料」のカラー剤で塗布したとしましょう。
目標は10レベル、根元にたっぷり塗ったら、根元1cmがとても明るくなってしまします。根元が明るくなることを避けるためには、少ない塗布量で放置時間を短く済ませたい。ニトロ染料が明るいクリアな色味の白髪染めに適しているのは、実は技術的にも都合がよいのです。
明るい白髪染めの盲点

(*画像はイメージです。)
10レベルで白髪を染めて色も楽しみたい。おしゃれ染めの延長で考えるなら当然のご要望です。 白髪染めは、根元にたっぷりとカラー剤を塗布します。この考え方は、酸化重合する酸化染料の塗布の場合に限ります。
同じ考え方で、根元にたっぷり「ニトロ染料」のカラー剤で塗布したとしましょう。
目標は10レベル、根元にたっぷり塗ったら、根元1cmがとても明るくなってしまします。根元が明るくなることを避けるためには、少ない塗布量で放置時間を短く済ませたい。ニトロ染料が明るいクリアな色味の白髪染めに適しているのは、実は技術的にも都合がよいのです。
カラー剤のトレンド

(*画像はイメージです。)
8レベルのカラー剤でも酸化染料と直接染料の割合が違います。メーカーによって、あるいは同一メーカーのラインアップされたカラー剤によってその差は歴然です。

色モチがいいのは、①>②>③>④
高彩度なものは、①<②<③<④
面白いのはニトロが多いとアルカリ剤が多くなる傾向があります。 同じ8レベルでもブリーチする割合が変わってきます。
しっかりブリーチして、ニトロの強みである高彩度なカラーを表現できるんですね。
イルミナカラーってあるでしょ。メーカーはウエラ。ウエラには、コレストンという美容師なら誰でも知ってるロングセラーのカラー剤があるんです。イルミナカラーがコレストンと比べて色モチが同じか、あるいは良いならコレストンは要らないですよね。
でも、あるのは何で?あえて分けて販売してる理由があるはずです。どっちが良い悪いの話ではありません。
どっちが直接染料が多いか少ないかみたいなことは、あえてコメントは控えます。知ってほしいのは目的が違うってこと。中高彩度なカラーが必要なのか、低中彩度なカラーが必要なのかって話。そのリスクは、色モチがあるかないかってコトなんです。
一番問題なのは、全ての人にイルミナカラーのような高彩度なヘアカラーを薦める美容師なんですけどね W
カラー剤のトレンド

(*画像はイメージです。)
8レベルのカラー剤でも酸化染料と直接染料の割合が違います。メーカーによって、あるいは同一メーカーのラインアップされたカラー剤によってその差は歴然です。

色モチがいいのは、①>②>③>④
高彩度なものは、①<②<③<④
面白いのはニトロが多いとアルカリ剤が多くなる傾向があります。同じ8レベルでもブリーチする割合が変わってきます。
しっかりブリーチして、ニトロの強みである高彩度なカラーを表現できるんですね。
イルミナカラーってあるでしょ。メーカーはウエラ。ウエラには、コレストンという美容師なら誰でも知ってるロングセラーのカラー剤があるんです。イルミナカラーがコレストンと比べて色モチが同じか、あるいは良いならコレストンは要らないですよね。
あえて分けて販売してる理由があるはずです。どっちが良い悪いの話ではありません。
どっちが直接染料が多いか少ないかみたいなことは、あえてコメントは控えます。知ってほしいのは目的が違うってこと。
中高彩度なカラーが必要なのか、低中彩度なカラーが必要なのかって話。そのリスクは、色モチがあるかないかってコトなんです。
一番問題なのは、全ての人にイルミナカラーのような高彩度なヘアカラーを薦める美容師なんですけどね W

美容師は言わざるを得ない
お客様「色どれぐらい、モチますか?」
美容師「けっこうモチますよ!」
これからカラーするお客さんに「モチません」とは言えないんです。
お客様のテンション下がること、言いにくいんです。
美容師は言わざるを得ない

お客様「色どれぐらい、モチますか?」
美容師「けっこうモチますよ!」
これからカラーするお客さんに「モチません」とは言えないんです。
お客様のテンション下がること、言いにくいんです。
2つの選択肢
①
色モチ重視で、7レベルまでの低彩度なスモーキーブラウンの白髪染めにする

(*画像はイメージです。)
高明度でクリアなブラウンは諦める。酸化重合タイプの7レベルまでのカラー剤で染めればいいんです。
②
好きな明るさで、クリアな色味の高彩度な白髪染めにする

(*画像はイメージです。)
カラー剤に含まれるアルカリ剤が色オチを早めるので、アルカリ剤を完全除去する。 家でのシャンプーは、界面活性剤が石油系(高級アルコール系)は絶対使わないでください。色オチが早まります。

デザインに合わせてカラー剤を選ぶ
色モチ重視か?クリアな色重視か?あるいは、両方をそこそこ満たしているものか?
つまるところ、あなたが何を重視するか?なんです。 どっちも満たしているカラー剤があるなら、美容室はみんなそのカラー剤を使ってます。染料の特許を持っているメーカーは、私が知る限りありません。 一部のメーカーのカラー剤が極端に優れていることはないといえます。
デザイン・印象に合わせて、必要なカラー剤を選ぶべきなんですね。それができるなら、あなたはカラー上級者です。
デザインに合わせてカラー剤を選ぶ

色モチ重視か?クリアな色重視か?あるいは、両方をそこそこ満たしているものか?
つまるところ、あなたが何を重視するか?なんです。 どっちも満たしているカラー剤があるなら、美容室はみんなそのカラー剤を使ってます。染料の特許を持っているメーカーは、私が知る限りありません。 一部のメーカーのカラー剤が極端に優れていることはないといえます。
デザイン・印象に合わせて必要なカラー剤を選ぶべきなんですね。それができるなら、あなたはカラー上級者です。
morie sugawara
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