私はあまりテレビを見ないのですが、なるべく見逃さないようにしているのがNHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」なんです。

以前に放送された回の出演者は女優、宮沢りえ。一ヶ月に及ぶ舞台稽古に密着した内容でした。


番組の中で「もっと自分を疑えよ!」という言葉は、宮沢が慕う世界的演出家、故・蜷川幸雄さんが稽古場で発したひと言だったそう。
この番組での宮沢りえの思考をシェアしたいと思います。


稽古で葛藤している様

100 点以上を目指したい

『作品に携わると決めた以上、ゴールは無いわけですよね。ここまでいけば100点、っていうのはないんですよ。どこまでも上を目指せる。だから、「これでいいのかな?なんかもっと、あるんじゃないかな?」とずっと思っていて。」



あるとき、蜷川幸雄さんが稽古場で、ある俳優さんに、「もっと自分を疑えよ!」とおっしゃったんですね。

その言葉が、ハッとさせられたというよりは、「肯定してもらえた!」っていうか。 自分をずっと疑って、「それでいいのかな?」「もっとないのかな?」って、手放しで喜ぶ瞬間がずっと無い仕事というか。

でも、それをすごく肯定してもらった思いでいっぱいだった。「自分を疑え」っていう言葉は、私にとってエネルギーになりました。」

100 点以上を目指したい

稽古で葛藤している様

 

『作品に携わると決めた以上、ゴールは無いわけですよね。ここまでいけば100点、っていうのはないんですよ。どこまでも上を目指せる。だから、「これでいいのかな?なんかもっと、あるんじゃないかな?」とずっと思っていて。」



あるとき、蜷川幸雄さんが稽古場で、ある俳優さんに、「もっと自分を疑えよ!」とおっしゃったんですね。

その言葉が、ハッとさせられたというよりは、「肯定してもらえた!」っていうか。 自分をずっと疑って、「それでいいのかな?」「もっとないのかな?」って、手放しで喜ぶ瞬間がずっと無い仕事というか。

でも、それをすごく肯定してもらった思いでいっぱいだった。「自分を疑え」っていう言葉は、私にとってエネルギーになりました。」

稽古中に葛藤している様子

挑戦するから失敗する

夏川という女性を演じていて、夏川の心理をシチュエーションごとにとっても具体的に想像しながら、セリフ・表情などを突き詰めてる。
舞台と映画の違いの一つは、舞台の場合、初日の幕が上がるまでに比較的長く稽古を積む期間があることだそうです。


稽古の序盤においては、“正解を早く出す”ことが、よい結果につながらないと考えているそう。
役者の中にある“衝動”をもとに、さまざまなことを試して挑むことで、より豊かなものが育まれていく。その先に何かが生まれると考えて、挑戦するから失敗することが多いそうです。

この宮沢りえの取り組む姿勢に、おこがましいですが私はとても共感しました。

挑戦するから失敗する

稽古中に葛藤している様子

 

夏川という女性を演じていて、夏川の心理をシチュエーションごとにとっても具体的に想像しながら、セリフ・表情などを突き詰めてる。
舞台と映画の違いの一つは、舞台の場合、初日の幕が上がるまでに比較的長く稽古を積む期間があることだそうです。


稽古の序盤においては、“正解を早く出す”ことが、よい結果につながらないと考えているそう。
役者の中にある“衝動”をもとに、さまざまなことを試して挑むことで、より豊かなものが育まれていく。その先に何かが生まれると考えて、挑戦するから失敗することが多いそうです。

この宮沢りえの取り組む姿勢に、おこがましいですが私はとても共感しました。

顎ラインのツーブロックボブスタイル

顧客A様のカット

A様はヘアスタイルを大胆に変えることはありません。

あごラインからリップラインぐらいの長さでいつもスタイルをオーダーされます。
またスタイリング剤をつけることを嫌われます。『朝起きて、何もしなくてもまとまる』これが理想な方なのですが…

毛流れ、生えグセの影響で左サイドがどうしてもハネるんですあまり軽くしない方法でやらせてもらえるんですが、どうしても、ある部分だけとっても軽くしたい方なんですね。
とっても軽したいところと、レイヤー・前髪の長さ・サイドのハネを改善しながら、ヘアデザインとして調和をとらなきゃいけないことが難しいんです。

顧客A様のカット

顎ラインのツーブロックボブスタイル

 

A様はヘアスタイルを大胆に変えることはありません。

あごラインからリップラインぐらいの長さでいつもスタイルをオーダーされます。
またスタイリング剤をつけることを嫌われます。『朝起きて、何もしなくてもまとまる』これが理想な方なのですが…

毛流れ、生えグセの影響で左サイドがどうしてもハネるんですあまり軽くしない方法でやらせてもらえるんですが、どうしても、ある部分だけとっても軽くしたい方なんですね。
とっても軽したいところと、レイヤー・前髪の長さ・サイドのハネを改善しながら、ヘアデザインとして調和をとらなきゃいけないことが難しいんです。

頭の角度を変えてカットしている

試行錯誤の9年間

1mm単位でパネルごとに長くしたり、ある時は斜めにスライスをとったり…斜めのスライスの角度を5度傾けたり、ハサミの進入角を変えたり…

コームのテンションを変えるために、荒刃のコームに変えてみたり…毛量調節のやり方なんて、もうホントにいろいろ試しました。

うまくいった時もありましたが、なんでうまくいったのかをロジカルにしたくて、またやり方を変えるんです。   そうするとうまくいかない。どうしていいかわからなくなって….  

もうこれ以上、技術的に選択肢がなく「もう少し、短くできないですか?そうすると新しいことができるから。」と提案させていただいたこともありましたが、答えは「NO!」で。w

与えられた条件(髪の長さ)で私はまた取り組むことに….

このA様に何もしなくても安定的にハネないようにカットできたのが、実は最近なんです。ほぼ、9年かかりました。時間がかかりました。

カットって奥が深いです。途中であきらめて、「パーマをかけてください」とかアイロンの巻き方をレクチャーして対応する選択肢もありました。


でも、それをA様が私に許さなかった。w ほんとにA様に感謝です。美容師としてのスキルが上がった瞬間でした。

試行錯誤の9年間

頭の角度を変えてカットしている

 

1mm単位でパネルごとに長くしたり、ある時は斜めにスライスをとったり…斜めのスライスの角度を5度傾けたり、ハサミの進入角を変えたり…

コームのテンションを変えるために、荒刃のコームに変えてみたり…毛量調節のやり方なんて、もうホントにいろいろ試しました。

うまくいった時もありましたが、なんでうまくいったのかをロジカルにしたくて、またやり方を変えるんです。   そうするとうまくいかない。どうしていいかわからなくなって….  

もうこれ以上、技術的に選択肢がなく「もう少し、短くできないですか?そうすると新しいことができるから。」と提案させていただいたこともありましたが、答えは「NO!」で。w

与えられた条件(髪の長さ)で私はまた取り組むことに….

このA様に何もしなくても安定的にハネないようにカットできたのが、実は最近なんです。ほぼ、9年かかりました。時間がかかりました。

カットって奥が深いです。途中であきらめて、「パーマをかけてください」とかアイロンの巻き方をレクチャーして対応する選択肢もありました。


でも、それをA様が私に許さなかった。w ほんとにA様に感謝です。美容師としてのスキルが上がった瞬間でした。

ドライの状態で髪の動かして見てみる

同じオーダーでもカットのアプローチを変える

ヘアスタイルの大胆な変更なくオーダーを頂く顧客の方の多くは、何がしらの技術的アプローチは毎回変えてやっています。

だから、「微妙にいつも違う。」って感じていらっしゃる方がいるかもしれない。「同じヘアスタイルで」と言われても、私の脳みそがそれを許さない。  【宮沢りえ的にいうなら”衝動”、私の場合は”脳みそ”。 脳みそという言葉のセレクトにボキャ貧な自分にがっかり(w)】

別のまとまる方法があるはず、この質感調整のほうが更にフィットするのでは?………脳みそが常に何かを探してしまうんです。W

同じオーダーでもカットのアプローチを変える

ドライの状態で髪の動かして見てみる

 

ヘアスタイルの大胆な変更なくオーダーを頂く顧客の方の多くは、何がしらの技術的アプローチは毎回変えてやっています。

だから、「微妙にいつも違う。」って感じていらっしゃる方がいるかもしれない。「同じヘアスタイルで」と言われても、私の脳みそがそれを許さない。  【宮沢りえ的にいうなら”衝動”、私の場合は”脳みそ”。 脳みそという言葉のセレクトにボキャ貧な自分にがっかり(w)】

別のまとまる方法があるはず、この質感調整のほうが更にフィットするのでは?………脳みそが常に何かを探してしまうんです。W

名作「ボックスボブ」スタイル

上手いカットは、見た目のデザインだけではない

宮沢りえの「何かが生まれるんじゃないか?」という姿勢にとても共感したのは、A様のことがあった、このタイミングだったからかもしれません。
どんな職業でも、どんな立場であろうともゴールはないんですよね。

ヘアスタイルがいかに扱いやすいか?って、ゴールがないでしょ。 見た目のデザインはとても大事だけど、もっと奥ゆかしいものがあると思ってる。  

ゴールが見えたらハサミを置くとき。美容師としての現役引退。向上する意欲がなくなっているんですから。お金を頂くには、ふさわしくない気がします。
たまに「菅原さんって職人だよね。」って言われるけど、自分の普通の感覚が宮沢りえとよく似てたのでおこがましいですがシェアさせていただきました。  

もっと自分のカットを疑えよ!

上手いカットは、見た目のデザインだけではない

名作「ボックスボブ」スタイル

 

宮沢りえの「何かが生まれるんじゃないか?」という姿勢にとても共感したのは、A様のことがあった、このタイミングだったからかもしれません。
どんな職業でも、どんな立場であろうともゴールはないんですよね。

ヘアスタイルがいかに扱いやすいか?って、ゴールがないでしょ。 見た目のデザインはとても大事だけど、もっと奥ゆかしいものがあると思ってる。  

ゴールが見えたらハサミを置くとき。美容師としての現役引退。向上する意欲がなくなっているんですから。お金を頂くには、ふさわしくない気がします。
たまに「菅原さんって職人だよね。」って言われるけど、自分の普通の感覚が宮沢りえとよく似てたのでおこがましいですがシェアさせていただきました。  

もっと自分のカットを疑えよ!

プロフェッショナルとは?

番組恒例の質問

「あなたにとってプロフェッショナルとは?」

『”対相手”が生まれることですね。
まず、相手に対してホントに誠実であること。
そこだけは誠実にいるっていうのが、本当のプロフェッショナル。』

   おもしろいのは舞台最終日のあと、番組の制作している人に「撮り直して欲しい。」と頼んで、楽屋で言い直してるんです。  

「プロフェッショナルとは?」

『あれも言って良かったなと思いますけど、 やっぱりそのことに対して、身を削る覚悟が ある人のことをプロフェッショナルって言うのかなってすごい思いました。 今回、改めてそれを突きつけられた感じがします。  』

発言そのものもがステキなんですが…. 発言以上に興味深いのは、後日に言い直してる。考え続けてるんです。プロですねー!  

P.S.

しかし、稽古中の宮沢りえのヘアスタイル、乱れてたなぁ。というより、かなりボサボサだった。あの感じで仕事に行くってやっぱり役者なんですね。

キレイだからどんなでもイイけど、一般人はあの見え方はしないでしょう。芸能人には美容師(スタイリスト)がやっぱりついてるんですよ。

一般人のほうが努力しているんじゃないのかな。

番組恒例の質問

プロフェッショナルとは?

 

「あなたにとってプロフェッショナルとは?」

『”対相手”が生まれることですね。
まず、相手に対してホントに誠実であること。
そこだけは誠実にいるっていうのが、本当のプロフェッショナル。』

   おもしろいのは舞台最終日のあと、番組の制作している人に「撮り直して欲しい。」と頼んで、楽屋で言い直してるんです。  

「プロフェッショナルとは?」

『あれも言って良かったなと思いますけど、 やっぱりそのことに対して、身を削る覚悟が ある人のことをプロフェッショナルって言うのかなってすごい思いました。 今回、改めてそれを突きつけられた感じがします。  』

発言そのものもがステキなんですが…. 発言以上に興味深いのは、後日に言い直してる。考え続けてるんです。プロですねー!  

P.S.

しかし、稽古中の宮沢りえのヘアスタイル、乱れてたなぁ。というより、かなりボサボサだった。あの感じで仕事に行くってやっぱり役者なんですね。

キレイだからどんなでもイイけど、一般人はあの見え方はしないでしょう。芸能人には美容師(スタイリスト)がやっぱりついてるんですよ。

一般人のほうが努力しているんじゃないのかな。

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